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AGA・自毛植毛・毛髪再生医療・薄毛について

プロペシア(フィナステリド)は1日おきに服用してもいい?

プロペシア(フィナステリド)は毎日1錠服用するように決められた医薬品です。
もし1日おき、つまり2日で1錠服用すると効果は全く無くなるのでしょうか?

結論から言うと、1日おきでは効果が激減します。

毎日飲まないと効果が薄れる

プロペシア(フィナステリド)は毎日服用する事が強く推奨されています。

プロペシア(フィナステリド)は飲んですぐに抜け毛を防ぐような力は持っておらず、男性ホルモンの一種であるDHTの体内での生成を防ぐことで、数ヶ月をかけて抜け毛を減らしていきます。

このDHTの生成を安定して防ぎ続けるためには、常に体内にプロペシアの有効成分(フィナステリド)が存在する状態でなくてはなりません。毎日医薬品を服用する事で体内に有効成分が安定して留まっている状態になることを「定常状態」と呼びますが、一日おきの服用ではこの定常状態を維持し辛くなります。

以下のグラフは、プロペシア(フィナステリド)の血中濃度を表したものです。
f:id:aga-aga:20180818220744p:plain

24時間で完全に有効成分が身体から完全に無くなっていることがグラフから読み取れますね。

1日おきのプロペシア(フィナステリド)服用では、血液中に有効成分がほとんど存在しない時間が長くなってしまうのです。その時間帯は薄毛の原因となるDHTが体内で生成されてしまい、薄毛が進行してしまいます。

分割するのも1つの手

もし費用面で毎日の服用を続けられない場合は、プロペシア(フィナステリド)1mg錠を分割して服用するという方法もあります。

プロペシア(フィナステリド)には1mg錠と0.2mg錠があり、製薬会社によって両錠とも治療効果はあまり変わらないという調査結果が出ています。
1mg錠を半分に分割すると0.5mgです。これを毎日服用すれば1mgと薄毛改善効果にほとんど差は無いでしょう。


ただし、プロペシア(フィナステリド)は分割して服用することが想定されていないため錠剤に割れ目がついておらず、分割するにはピルカッターで割る必要があります。
この際に有効成分が周囲に飛散し、同居人などが誤って体内に吸収してしまう恐れがあり大変危険です。特に妊娠中の女性がフィナステリドを吸収してしまうと胎内の子供に悪影響が出る可能性があるために絶対に避けるべきとされています。分割する場合は注意するようにしてください。

まとめ

プロペシア(フィナステリド)は毎日飲むようにしてください。
1日おきでは効果が激減してしまいます。

豆乳(イソフラボン)は薄毛に効果なし!

よくある悩み

「豆乳は薄毛に効果があるのでしょうか?豆乳は薄毛に効果があるという話を聞きましたが本当なのでしょうか?薄毛対策に毎朝コップ一杯の豆乳を飲んでいます」

健康食品として人気のある豆乳は、残念ながら薄毛を改善させる力は持っていません。


豆乳が薄毛に効果があるという説は、豆乳の主原料の大豆に含まれるイソフラボンに由来します。イソフラボンは女性ホルモンと似たような作用をもたらすとされており、女性には薄毛が少ない事からイソフラボンの摂取が薄毛に効果があるのではないかという説です。

AGAの主原因は体内で生成される男性ホルモンの一種・DHTによるものですが、ラット(ねずみの一種)を使った実験でイソフラボンがDHTの生成を抑えるとことが確認されています。雄のラットに毎日3gのイソフラボンを含んだ餌を与える事で体内のDHTが半減したんですね。

この実験結果が元になり、人が豆乳を飲めば髪の毛が生えてくる!という説を唱える人がたくさんいますが騙されないでください。真っ赤な嘘です。

イソフラボンを摂り過ぎると健康被害がある

体重500gのラットに対する3gのイソフラボンを、体重70kgの人間に換算すると実に420gのイソフラボンに該当し、健康被害を及ぼす多大な量となってしまいます。

食品安全委員会によれば1日のイソフラボン摂取目安量の上限値は75mgとされています。
その2倍を長期間摂取した場合に、女性に対して有意な健康被害が出現する事が確認されています。

髪の毛を生やすための人間が毎日イソフラボン420gを摂れば確実に健康被害が出るでしょう。

髪の毛を生やすだけのイソフラボンを食品から摂取するのは無理

また、もし420gのイソフラボンを摂取するには豆乳であれば1.7L、豆腐は6丁、納豆は12パックが必要となります。
毎日摂取するのはとても無理な量です。
豆乳を毎日1.7Lも飲み続けられますか?

もちろんサプリメントであれば420gのイソフラボンを摂取し続けることは可能でしょうが、そもそもそれだけ摂取すると健康被害が生じるのです。

豆乳の原料となる大豆は栄養価に大変優れた食品ですので、適量を摂取することは健康に対してプラスに働くのは事実。
だからといって、豆乳をAGA治療の特効薬といった捉え方をすることは現実的ではないのです。


また関連する注意点として、イソフラボンとカプサイシン(唐辛子等に含まれる)を同時に摂取する事で育毛効果が得られるといったうたい文句のサプリメントが市場に存在しますが、この根拠となった研究自体にデータの捏造があったと研究元の大学の調査で判明し、研究に関わった研究者はそれぞれ懲戒免職や停職処分を受けています。

研究者自身が育毛サプリメントの販売に深く携わっていたため、サプリメントの販売量を増やす目的で研究の捏造をおこなったのではないかと考えられています。

結論
豆乳やイソフラボンは薄毛改善には効果がない!

若新雄純さんはミノタブを飲んで全身脱毛する羽目に

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の特任准教授やNEET株式会社の発起人としても知られる「若新雄純」さん。多種多様なご活躍をされていてテレビ番組のコメンテータとしても目にする機会が多い方です。

そんな若新雄純さんが、2020年をめどに実用化を目指している国内の毛髪再生医療のニュースの際に、ミノタブを飲んでいることをネットテレビの番組でコメントしていました。

・20代頃から薄毛が始まってショックを受けた
・ミノキシジルタブレット(ミノタブ)を7年前から飲んでいる
・ミノタブで髪の毛が増えたが、服用をやめると減ってしまう
・全身の毛が増えてしまうとの全身脱毛に通っている

若新雄純さんは男性としては珍しく年齢を非公開にされているようで、現在おいくつなのかは不明です。しかし大学卒業年度などから推定するに30代前半なのではないかとささやかれています。

つまり20代前半でミノタブを飲み始めたということですね。

プロフィール | 若新ワールド

若新雄純さんの公式サイトではM字ハゲが進行して深刻な状態になっている写真が掲載されています。現在の髪の毛を見ると、かなり改善されている様子がわかります。やっぱりミノタブって効くんですね。M字の最奥部は前髪で隠れていますが、最悪の状態よりは随分と生え際が前進しています。

リアップは生え際・M字ハゲにはあまり効果が無い傾向にありますが、ミノタブの場合は関係ありません。

全身脱毛せざるをえないぐらい体毛が増えた

ただ、注目すべきデメリットとして「全身脱毛が必要なぐらい体毛が濃くなってしまう」という点をあげているのは見逃せません。これこそがミノタブの最大の副作用でしょう。

同じミノキシジル医薬品でも、頭皮に塗るリアップは基本的に毛髪しか生えてきません。有効成分ミノキシジルが体中に巡ることはないのでしょう。

それに対して錠剤を服用するミノタブ=ミノキシジルタブレットの場合は、有効成分が腸から吸収され、血管を通して全身に巡ります。そのため、理論上は全身の毛が濃くなってしまうというわけなのです。

実際に若新雄純さんのように全身脱毛が必要なぐらい体毛が濃くなってしまうケースが報告されると、ミノタブの強力な育毛効果に対して改めて感心しちゃいますね。

ちなみに全身脱毛はかなりお金がかかります。手足、胸、腹を全てやるとすると1年で8は通って30万円以上でしょうか。それでも完全には脱毛できません。髪の毛を生やすためのミノキシジルタブレットの費用より、全身脱毛の費用の方がかかってしまっているのは皮肉なものです。

毛髪再生医療が実現すれば、全身脱毛費用に使っている費用をそのまま毛髪再生医療に充てられるんですけどねえ…。1日でも早く実現・実用化してほしいものですが、個人的には2020年の段階ではまだ一般人は毛髪再生医療は受けられないと考えています。

【買う価値無し】「スカルプD メディカルミノキ5」じゃなくてリアップX5で十分な理由

国内で唯一のミノキシジル医薬品「リアップ」の持つ特許が切れてついに後発品が出始めました。

トップバッターはスカルプDシャンプーで名前が知られた「アンファー」から「スカルプD メディカルミノキ5」という名前。
名前の通りミノキシジル5%を配合しており、有効成分的にはリアップX5と全く同等です。

【第1類医薬品】スカルプD メディカルミノキ5 60mL


でも、結論から言うとこのスカルプDメディカルミノキ5はリアップX5に劣ります。

価格 使い心地 購入場所
リアップX5 ○ 1000円安い ○ドラッグストアー
メディカルミノキ5 × ×べたつく、臭い ×ネットのみ

価格面で劣る

Amazonでの実売価格(税込)
リアップX5プラスローション 60mL…6849円
スカルプD メディカルミノキ5 60mL…7800円
(どちらも1本1ヶ月分の価格)

スカルプD メディカルミノキ5の方が1000円近く高いのです。
これには驚きました。

一般的に、医薬品における後発品というのは先発品よりも価格を抑えて発売します。

なぜなら先発品を発売する企業はその医薬品の「開発」「臨床実験」などで多額の投資をする一方で、後発品は特許が切れた成分をそのまま真似するだけで済むため、開発費が非常に低く抑えられるからです。

後発医薬品は先発品の6割程度の値付けがされることが一般的。
リアップX5の価格は7612円(税込み)なので、後発品はその6割の4500円程度の価格で発売するのではないかというのが業界の大方の予想でした。

しかしフタを開けてみればアンファーは7800円(税込み)という価格設定。
リアップX5よりも高いのです。
ありえません。

しかもリアップX5は実際にはもう少し値引きされて売られています。
もう一度アマゾンでの価格を確認しておきましょう。

Amazonでの実売価格(税込)
リアップX5プラスローション 60mL…6849円
スカルプD メディカルミノキ5 60mL…7800円

リアップX5は1割り引きされていますが、スカルプD メディカルミノキ5は一切の割り引きがありません。

…こんなもの誰が買うのでしょうか?

使い心地

徐々に使ってみた人が感想をネットに投稿しているようですが、明らかにリアップよりも以下の点で使い心地が劣るようです。

・べたつく

リアップX5プラスローションは従来品よりも随分とベタつきを抑えています。
スカルプD メディカルミノキ5はべたつき対策がほとんどされていないようで、夏場ということもあり不快感を覚えるよう。

・臭い

薬剤臭がリアップX5よりも強め

・ボトルヘッドの質がいまいち

この辺はまだ今後改良されるのかもしれませんが、1mlの計量ヘッドがうまく作動しないという声がチラホラ確認できます。

基本はネットでしか買えない

リアップX5はネットでもドラッグストアーでも購入可能。
それに対してスカルプD メディカルミノキ5は基本的にネット通販のみのようです。

スカルプD メディカルミノキ5 vs リアップX5は先輩に軍配が上がる

価格面、使い勝手でリアップX5の方が優秀な状況です。
まさか後発品の方が高いとは夢にも思いませんでした。

草彅剛さんと香取慎吾さんというタレント2人(ミノキ兄弟)を起用したCM効果である程度は売れるのかもしれません。発売元のアンファーは全く効果のない育毛シャンプー・スカルプDを、お笑いタレントをうまく使って爆発的に売り上げた経緯があるので、今回もそれなりに成功するでしょう。

でも、絶対にお勧めできませんね。
どう考えてもリアップX5の方がいいです。

今後はロート製薬などがミノキシジル医薬品の発売を控えていますが、ぜひ大胆な値付けをして欲しいですね。実売価格で5000円を切るようだと爆発的に売れるでしょう。

【第1類医薬品】リアップX5プラスローション 60mL
大正製薬 (2015-10-05)
売り上げランキング: 1

海外にはなぜ「育毛剤」が存在しないのか

要約:
・「育毛剤」は海外では存在せず「医薬品」を使うのが一般的
・海外では、日本で人気の育毛剤に含まれている育毛剤成分はニセ科学と見なされて相手にされていない

日本では「育毛剤」「育毛医薬品」の2つのカテゴリーがありますよね。

育毛医薬品…プロペシア(フィナステリド)、リアップ(ミノキシジル)など
育毛剤…チャップアップ、フィンジア、イクオス、ブブカなど

驚く人もいるかもしれませんが、海外では「育毛剤」というカテゴリーがほぼ存在しません。
ほぼすべての人が育毛医薬品を使っているという現状があります。

日本(と韓国)だけなんです、育毛剤なんてものが売れているのは。

海外では育毛医薬品しか使われていない

その原因は2つ。

・うさんくさい育毛剤成分の嘘は、人口の多い英語圏ではネットの情報を通して見破られる
・日本よりも育毛医薬品が安価に入手できる

だから誰も「育毛剤」なんて買わないので、そもそも売られていないんですよね。

海外ではほぼ全ての人がフィナステリドとミノキシジルを使っています。

アメリカはもちろん、ヨーロッパでもフィナステリド&ミノキシジルが薄毛対策の定番であって、キャピキシルとかノコギリヤシとかピディオキシジルとかセンブリエキスとか、効きもしない育毛成分とやらが入った育毛剤を使う人はまずいません。

もしフィナステリド、ミノキシジルのような育毛医薬品で改善しなかったら潔くボウズにするか、自毛移植をするのが海外の薄毛の男性の一般的な行動です。
カツラをつけるひとは年々減っていて、このままだとアメリカでは10年後には男性向けカツラ業界自体が成り立たなくなるかもしれないとか。

まあとにかく育毛剤なんてものは海外では売れてないし、そもそも売られていないんです。
ニセ科学として馬鹿にされるような存在が育毛剤なのです。

日本限定の大人気成分は海外では相手にされていない

日本で人気の育毛剤によく入っている育毛成分「キャピキシル(Capixyl)」なんて、海外では全く知られていません。

海外のWikipediaには項目が存在しないほどだし、開発メーカー(ルーカスマイヤーコスメティクス・LUCAS MEYER COSMETICS)の項目もありません。


なぜか日本版のWikipediaにだけは存在しますが、項目の作成者の編集履歴を確認すると明らかに育毛剤業界の人です。
つまりキャピキシル系育毛剤を売りたい育毛剤業界の誰かが作った項目。
開発元メーカー(カナダ)がある英語圏Wikipediaにすら項目が存在しないキャピキシルなんて、ちっとも革命的でも何でも無いんですよ。

キャピキシルは「インコスメティックス」という化粧品成分の展示会カンファレンスで、2011年にブロンズ賞を受賞したと日本では宣伝されていますが、そのそもその展示会自体が海外では全く相手にされていないレベルなんです。
英語圏で検索してみるとわかりますが、表示されるページはほとんど展示会主催者&展示会で賞を受賞したいかがわしい企業からの情報発信元だけ。

ちゃんとした展示会なら、それなりのメディアからの言及があってしかるべきなのに一切なし。
いかに注目されていないかってことなんですよ。

【まとめ】育毛剤なる全く効果がないものが売れ続けているのは日本と韓国だけ

日本と韓国ぐらいなんですよ、キャピキシルとかピディオキシジルなんていうまやかし成分が崇められているのは。

本当に髪の毛を生やしたいなら、ちゃんとした医学的根拠があり、比較実験によって発毛効果が確認された医薬品を使うべきです。

あなたが購入を検討している育毛剤、あるいはすでに使っていて手元にあるその育毛剤

本当にそれ、効果ありますか?
その育毛剤にあなたの人生をかけるだけの覚悟をお持ちですか?

資生堂vs京セラ!毛髪再生医療の2018年最新事情

フィナステリド(プロペシア)とミノキシジル(リアップ等)の登場により様変わりした毛髪治療ですが、いよいよ2020年を目処に最強最高の治療方法の「毛髪再生医療」が本格化しそうな状況になってきました。毛髪再生医療とはいったいなんなのか、従来の自毛植毛とはどのような違いがあるのか、そして気になるお値段や治療を受けられる時期について2017年の最新の情勢をお伝えします。

現在国内で研究が進んでいる毛髪再生医療は主に二つのグループがあります。一つは資生堂が海外のレプリセル社の技術を使って進めているもの、もう一つは京セラ・理研が主導する研究です。どちらも大手の企業と病院が手を組んで研究を進めており、この分野では日本は間違いなく世界でもトップグループを走っていると言えるでしょう。ミノキシジルやフィナステリドなど効果の高い発毛治療薬の開発は海外メーカーに先を越されてしまいましたが、もしかすると毛髪再生医療に関しては日本発の技術が世界でもスタンダードになり、最も世界で恵まれた毛髪再生医療を受けられる環境を享受できるようになるかもしれません。

毛髪再生医療とは

それでは毛髪再生医療とはいったいなんなのか、どういう技術なのかを解説していきます。簡単に言ってしまえば、本人の頭髪の中でまだ残っている部分から毛を作り出す細胞を採取し、それを培養して増やし、髪の毛が生えてこなくなってしまった部分に注入(埋め込む)という治療です。埋め込んだ細胞から毛髪が生えてくる事がマウスや人を対象とした研究で実現できるようになったのです。

毛を作り出す細胞を採取 → それを体外で大量に増やす → 本人の頭に戻す → 髪の毛が生えてくる

といった段階を踏みます。現在主流の自毛植毛と何となく似ていると思った方も多いでしょうが、毛髪再生医療で画期的なのは二番目の「体外で大量に増やす」というステップです。自毛植毛の場合は側頭部や後頭部より頭皮ごと採取し、それを前頭部など髪の毛が生えなくなった部分に埋め込む事で髪の毛を維持しようとする治療です。自毛植毛の問題点は、前頭部に大量に髪の毛を増やしたければ、その分だけ側頭部や後頭部の頭髪を大量に減らさなくてはいけない点です。

一般的にAGAの進行は前頭葉から進み、かなり進行してしまった場合でも側頭部や後頭部の髪の毛はフサフサしている事が多いですね。なぜあのような事が起きるかと言うと、側頭部や後頭部はアンドロゲンレセプター受容体が少ないために、髪の毛を脱毛させる作用を持つ男性ホルモンの一種であるDHTの影響を受けにくいためです。だからかなり薄毛が進行してしまった人でも側頭部や後頭部の髪の毛は残りやすいんですね。

それでも限界ってものがあります。いくらたくさん残っているからといって、あまり大量に毛根ごと採取してしまうと側頭部・後頭部の毛髪量が激減してしまいますし、そもそも側頭部・後頭部の髪の毛を全部採取しても、まだ前頭部をカバーしきれないほどに薄毛が進行してしまった人には無力です。自毛移植は高額な治療のぶん効果は高いですが、このような短所があります。しかし、この難点をカバーできるのが現在資生堂や京セラで進められている毛髪再生治療なのです。

毛髪再生治療は毛髪の採取量が少なくて済む

ここで先ほどの毛髪再生医療のステップをもう一度確認してみましょう。

毛を作り出す細胞を採取 → それを体外で大量に増やす → 本人の頭に戻す → 髪の毛が生えてくる

この二番目が再生医療の肝になり、また自毛移植の難点をカバーする画期的な点です。つまり、体外で毛を作り出す細胞を大量に培養する事ができるため、頭皮ごと採取する毛髪(細胞)を少なくする事ができるのです!例えば前頭部に3000本の髪の毛を増やしたいとすれば、従来の自毛植毛では側頭部や後頭部などまだ残っている部分の毛を同じく3000本採取しなければなりませんでした。しかし毛髪再生医療は体外で細胞を培養できるために、たったの数十本で済むのです。極端なことを言えばたったの一本しか髪の毛が生えていないサザエさんの波平さんでも、その一本を元に培養して何百万本に増やす事だって理論上は可能なのです。凄い。凄いぞ毛髪再生医療

女性でも治療可能

そしてもう一つすばらしい点は「女性でも男性と同様に治療可能」な点です。フィナステリド(プロペシア)は男性のみ処方可能な医薬品で、女性が服用した場合は効果はともかくとして胎児に影響が出るという重篤な副作用がありました。しかし毛髪再生医療ならば男女は関係ありません。男性に比べると薄毛に悩む女性の数は少ないですが、しかし薄毛の女性が少ない分、薄毛になってしまった時の社会的・精神的ダメージは男性とは比較になりませんでした。男性なら開き直ったり坊主にしたりいくらでも逃げ道はあるといえばあるんですが、女性の場合は坊主にするわけはいきません。女性の薄毛は大変辛いものがあります。男女問わず可能な毛髪再生医療は女性の薄毛治療を劇的に改善する可能性を秘めています。

毛髪再生医療の欠点

完璧に思える毛髪再生技術ですが、もちろん欠点も無くは無いです。と言うよりは、現状ではたくさんあります。

自毛植毛より時間がかかる

毛髪再生の肝である細胞の培養ですが、一日二日で出来るものではありません。増やす量にもよりますが、現在の技術では三ヶ月から半年はかかるそうなので、その間はもちろん治療がストップしてしまいます。細胞採取自体はすぐ終わったとしても、それを培養して増やすのに時間がかかってしまうのです。増やした細胞を頭皮に埋め込んで、そこから髪の毛が生えてくるのも待たなくてはいけません。一年がかりでゆっくりと治療するようなイメージでしょうか。

アレルギー反応

体外にある細胞を体内に埋め込む際にはアレルギー反応を起こして体が拒絶する可能性があります。そうなってしまうとせっかく増やした細胞や費やした時間・お金も無駄になってしまいます。培養前は元々が自分の細胞のためにアレルギーを起こす可能性はさほど大きくは無いでしょうが、一定のリスクは確実にあるでしょう。

高額な治療費

現在受けられる治療の中でも自毛移植は最も高い部類に入り、薄毛の進行状況にもよりますが、だいたい平均して100万円程度はかかってしまうそうです。毛髪再生医療は現在の自毛植毛よりも「細胞培養」というステップが入る分、確実に費用は高くなります。実用化に目処がたった直後は最低でも300万とか400万ぐらいかかると私は予想しています。一般的な収入の人ではなかなか厳しいものがありますね…。特に薄毛に悩む若い人にはまず捻出するのは無理な金額です。

実用化初期は治療がなかなか受けられない

高いから治療が受けられないだけならまだしも、おそらくは実用化直後は治療対象の患者さんはかなり少なくなる見込みです。いきなり何千人も治療を受けられるとは思えません。2014年の段階で毛髪再生医療の先頭を走っていた資生堂では「2018年を目処に実用化し(2017年現在ではさらに伸びて2020年頃になる模様)、最初は毛髪外来・脱毛外来を設けている大学病院等と提携して様子を見ながら進めていく」とコメントしていました。大手のAGAクリニックではなく限られた大学病院のみで治療が受けられる場合は、おそらく治療を受ける患者さんを募ってから抽選でふるい落とすことが濃厚です。お金があっても治療を受けられるとは限らないのです。

このように、全人類待望の夢の毛髪再生医療にも欠点がたくさんあり、まだまだ私たち一般の人が気軽に受けられる治療になるのは先になりそうです。2020年を目処に実用化したいと資生堂や京セラグループは述べていますが、得てしてこういう希望は先に延びてしまうものです。あとわずか3年で実用化すると考えるのはあまりにも楽観的な見通しです。

それでも毛髪再生医療に期待せざるをえない

こういった欠点は多々あるのですが、それでも毛髪再生医療が我々薄毛に悩む人にとっては希望であることに代わりはありません。AGAを発症させ人を薄毛に追いやるアンドロゲンレセプター受容体が少ない後頭部の細胞を培養して前頭部に埋め込んでやれば、DHTの影響を受けにくい前頭部の髪の毛が出来上がります。20代、30代で治療すれば50代になってもフサフサでいられる可能性が非常に高いと言えるでしょう。プロペシアミノキシジル、その他の治療法は基本的に「治療をやめたら効果が無くなり薄毛が進行する」という代物です。でも毛髪再生医療は逆です。DHTの影響を受けず脱毛しづらい後頭部の髪の毛を使って治療するので、治療後はAGAにかなり強くなります。パワーアップするのです。もし治療費が50万程度にまで下がるようになれば、かなり有望な治療法です。

毛髪再生医療は薄毛治療の革命的三段階目と私は考えています。一段階目は効かない育毛剤、二段階目は効果が立証されたフィナステリド・ミノキシジル、そして三段階目は男女や薄毛の進行具合を問わずに若い頃の毛髪を取り戻す事のできる毛髪再生医療というわけです。

効かない育毛剤 → 効く治療薬(フィナステリド・ミノキシジル) → 確実に毛を増やす毛髪再生医療

この三段階目に薄毛治療は差しかかりつつあります。2020年の段階ではまだまだ一般の人には手の届かない治療法かもしれませんが、さらに5年後の2025年には治療価格も数十万円に下落し、多くの人が毛髪再生医療を受ける事ができるようになるでしょう。そのような未来を願ってやみません。

毛髪再生医療が発達したら育毛剤は無くなるか?

約10年前まではリアップやプロペシアの登場で効果の無い育毛剤や育毛シャンプー、育毛サロンは淘汰されると盛んに言われていた時代がありました。毛髪再生医療が発達してもこの状況は変わらないでしょう。育毛剤の売り手はますますマーケティング力に磨きをかけて、効かない育毛剤を売ってきますので育毛剤市場はさほど縮小しないばかりか、今後若年層が減ってますます中高年が増えると逆に拡大する可能性もあります。薄毛に悩む方々は、どうか科学的に効果が立証された治療法のみ実践していただきたいと強く願わずにはいられません。現状ではフィナステリド・ミノキシジル、自毛移植など選択肢は限られているぶん明確です。今後はこれに毛髪再生医療が加わるでしょう。比較的安価に治療できる治療薬(プロペシア、リアップ)を選択するか、高価な自毛移植か毛髪再生医療を選択するか。10年後はこのような2択になっているのではないでしょうか。

今後はどこが毛髪再生医療分野を制するのか

現在注目されている毛髪再生医療研究グループは記事冒頭でも述べましたが資生堂グループ京セラ・理研グループの二つです。これより先駆けて横浜国立大学のグループもマウスを使った発毛実験の成功を発表した例がありますし、水面下で研究を続けている企業・研究機関はたくさんあるでしょう。アデランスのJigamiように社運を賭けて海外の毛髪再生医療企業を買収したけれど頓挫して撤退してしまった例もありますが、今後は確実にこの分野は発展・拡大していくことが確実です。

現在のところ京セラの技術の方が資生堂の技術よりも効果が見込めるのではないかという見方もありますが、海外より黒船のごとく画期的な研究が舞い込んでくるかもしれません。海外・国内問わず毛髪再生医療分野は競争が激化し、そのぶん研究速度も早くなり、我々が治療を受けられるのも早くなるかもしれません。

資生堂の研究について

ここからは国内の毛髪再生医療研究の一翼を担っている資生堂グループの研究進捗状況について解説していきます。資生堂はカナダの再生医療ベンチャー企業であるレプリセル・ライフ・サイエンス社(RepliCel Life Sciences 以下レプリセル)の開発したRCH-01という技術を基に研究を進めています。京セラ陣営と違って核となる技術は外部からライセンスを受けて使っているんですね。

レプリセルはアメリカやヨーロッパの企業にもライセンスを提供しており海外でも研究が進んでいるようですが、日本・韓国・中国を含むアジアについては2013年7月に資生堂と技術提携契約を締結し、アジアではレプリセルのRCH-01の特許を独占的に使用する契約を4億円で結んでいます。もしこの技術開発が成功した暁には10億人を超える中国市場に向けても技術を独占提供できるわけで、資生堂としては従来の化粧品会社の枠を超えた事業を展開することが期待できます。毛髪再生医療の難点の一つである高額な治療費ですが中国の富裕層を史上に取り込む事によって初期の売り上げを確実に確保できるでしょう。

ちなみにレプリセル社は将来有望な再生医療ベンチャーとして注目されているようで、この記事を書いている時点(2017年1月)で上場しているトロント株式市場にて過去最高値1.8カナダドルをつけています。去年の8月時点では0.1カナダドルだったのでなんと18倍!とんでもない値上がり率ですね。この企業の技術に注目して株を持っていた人は大儲けしてそうです。

また、2014年11月に「再生医療等安全性確保法(通称:再生医療新法)」というものが施行され、従来は医療機関にしか許可されていなかった再生医療のための細胞の培養・加工が「特定細胞加工物製造施設」の認定を受けた民間の企業に委託することが可能になりました。医療機関が自前の大規模な細胞加工施設を持っていなくても再生医療を行うことができるようになったわけです。この規制緩和により資生堂の研究事業は飛躍的に進む事になります。2014年より神戸ポートアイランド・神戸医療産業都市の「資生堂細胞加工培養センター(SPEC、スペック)」を本格稼働させ、東京医科大・東邦大学と提携し臨床検査を進めています。もちろんこの流れは偶然の産物ではなく、予め規制緩和を見越して先手を打っていたのです。ちなみに神戸ポートアイランドは京セラグループの理研の本拠地があるところです。日本の薄毛改善の鍵は神戸の人工島が握っていると言っても過言ではありません。


レプリセルのRCH-01とは

レプリセルは既に海外でヒト相手の臨床実験を進めており、一定の成果を上げています。しかし劇的に改善したとはまだ言いがたいのが現状です。RCH-01は簡単に言ってしまえば、毛髪が元気に生えている細胞を採取し、そこから毛髪を生やす力を持っている毛球部毛根鞘細胞と呼ばれる細胞を何百万と培養し、これを毛髪を生やす力が弱ってしまった部分に注入することで髪の毛を生やす力を復活・改善するという仕組みになっています。

毛髪再生医療のもう一つの有力グループである京セラと決定的に違う点は、毛を生やす力が弱まった部分に「活」を入れて(という表現が正しいかどうかはわかりませんが…)、もう一度生やそうとする点です。このやり方ではあまり劇的な改善は見込めないのではないかという疑問や批判もあります。実際に臨床実験ではそこまでフサフサになったわけではなく数%程度の増毛に留まった被験者が多かったようです。全く髪の毛が生えなくなった部分には無力なのではないかという疑問も頭をよぎります。

後ほど解説する京セラの技術はもっと根本的なところ、つまり毛を生やす能力を持った細胞時代を作っちゃおうというものです。なので理論上は完全に毛を生やす力が死に絶えた部分でも生やす事が可能なのではないかと期待されているのです。

どのような所で毛髪再生医療が受けられるのか

ところで毛髪再生医療はどこで受ける事ができるようになるのでしょうか。まだ実用化は先の話なので今から予想しても仕方ないかもしれませんが、これは結構重要な話です。もし限られた大規模な大学病院のみでしか施術を受けられないとすれば費用は高止まり、受けられる人数もごくごく限られてしまいます。大学病院だけでなくもっと広範囲で様々な医療機関で施術を受けられるようになれば価格競争も進み、治療環境は向上するでしょう。

毛髪再生医療と似た治療方法として自毛植毛(FUTなど)が真っ先にあげられます。自毛植毛は自らの残っている毛髪部分の頭皮を採取し、それを薄くなった部分に移植することで前頭部などの薄毛を改善する技術です。各地の薄毛治療クリニックでもう何十年に渡ってしっかりとした実績とノウハウが蓄積されています。このような自毛移植クリニックで毛髪再生医療を受けられるようにはならないのでしょうか?

残念ながら毛髪再生医療元年と期待される2020年時点ではまず無理でしょう。もし資生堂や京セラが2020年に実用化できていたとしてもその時点では限られた大学病院でしか施術しないはずです。またライセンスの問題もあります。資生堂などは海外のレプリセル社の技術を核としていますから、その技術を使った治療をどのような病院と提携して行うかをレプリセル社に制約を設けられる可能性もあります。例えば大学病院ならいいけれども大手AGAクリニックや美容系クリニック等は駄目、といった感じです。

レプリセル社とどのような契約になっているかは外部にはわかりませんが虎の子の技術であるRCH-01で何かトラブルがあれば再生医療ベンチャーとしてのダメージは大きいために、実用化初期の頃は信頼のできる少数の大病院でしか治療を認めないという可能性はありそうです。

まとめ

以上、期待の毛髪再生医療の2018年の現状についてお伝えしました。

まだまだ課題はたくさんありますし、限られた大学病院のみで治療が受けられるようになってもあまり意味がありません。ルネッサンスクリニックなど自毛植毛に強い大手のAGAクリニックグループなどが京セラ等と提携して施術できるようになれば一気に治療環境は良くなるでしょう。毛髪再生医療が本格化するまではフィナステリド・ミノキシジルで髪の毛を維持しつつ耐える日々が続きそうです

AGA遺伝子検査の妥当性(2018年度版)


本日は多くの人にとって謎の「AGA遺伝子検査」について解説します。
AGA遺伝子検査の結果については取り扱いに注意が必要です!
病院の説明を鵜呑みにしてしまうと思わぬ損をしてしまうことも・・?


AGA遺伝子検査とはアンドロゲンレセプター遺伝子(アンドロゲン受容体遺伝子)という人間の男性ホルモンに関わる遺伝子を検査し、AGAの治療薬(フィナステリド・プロペシア)による治療効果が望めるかあらかじめ判断することのできる検査です。従来はCAGリピート数とGGCリピート数の和によってAGAが発症しやすいかどうかのリスク判定に使われてきましたが、近年はあまり信憑性が無いという事で重要視されなくなってきています。それに代わってCAGリピート数単体の値によってフィナステリド治療の効果があるかどうかを判断する方法が主流となっていく流れになっています。

CAGリピートやGGCリピートとは?

ところでCAGリピートやGGCリピートとはいったい何でしょうか。遺伝子(DNA)は
我々人間にある60兆個近くある全ての細胞に存在する体の設計図のようなものです。各細胞のDNAは全て「共通」であり、この設計図が基となって体の様々な器官が作られていきます。全体の99.9%のDNA情報は誰でもほぼ共通となっており、わずか0.1%のみが異なると言われています。たったの0.1%の違いで人間の個性が形作られというのは面白いですね。ほんの少しでもDNA配列が違っただけでイケメンに生まれたり髪の毛ふさふさになれたかもしれないわけです。人生は無情です。

この遺伝子情報を検査することでガンやAGAなどの発症リスクがわかるようになりました。後10年もすればさらに詳細なことがわかるようになり、ガン予防などが劇的に進むと予想されています。

DNAは簡単に言ってしまえばG、C、T、Aという4種類の塩基から成り立っています。人間の体が4種類の記号の並びによって作られていると考えてもらってもいいでしょう。このうちC、A、Gが順番にCAGと並んでいたら、CAGリピート数は1となります。CAGCAGは2回繰り返されているのでリピート数が2となります。同様にGGCリピート数もGGCGGCでリピート数2となります。それぞれのリピート数は個人によって異なり、これによって男性の機能であったりAGAの発症に関わるのではないかと考えられているのです。

なお、CAGリピート数は人種によって長い短いという傾向があり、アフリカ系の人は短め、白人は普通、アジア人は比較的長めになるという研究論文が出ています(Sartor O, Zheng Q, Eastham JA (February 1999). "Androgen receptor gene CAG repeat length varies in a race-specific fashion in men without prostate cancer". Urology. )。

まず、AGA検査をするとAGA発症リスクがわかるという考え方の元になった論文が2001年に出ました。この論文は男女を含む100人程度を対象とした調査結果が元になっており、わりと小規模なものとなっています。調査ではAGAを発症している人は、発症していない人に比べると比較的CAGリピート数が少なかった事が判明しました。この論文を元にして2005年のプロペシア処方解禁以降、大手のAGAクリニックでAGA遺伝子検査を実施するようになりました。病院での検査費用の相場は20000円ほどとちょっと高いので実際に受けた人はさほど多くないためにインターネット等での口コミも少なく、遺伝子検査自体があまり知られていない印象を受けます。

現在の一般的なAGA遺伝子検査ではCAGリピート数とGGCリピート数を調べ、その合計が38を下回るとAGAになりやすく、上回るとAGAにはなりにくいといった結果を提示しています。その38という数字は前述した論文調査結果が元になっています。38を境目に値が小さい人に比較的薄毛の人が多かったのです。

しかし、まず調査対象が100人程度と少ない事、さらに38を下回っても薄毛じゃない人、38を上回っても薄毛の人が結構多いなど、CAGリピート数とGGCリピート数の合計が果たしてAGA発症リスクを正確に診断できているのだろうかという疑問は各所より出されていました。

CAG/GGCリピートの合計値とAGA発症リスクは無関係だった

そこで2012年にさらに大規模な調査が行われました(アンドロゲン受容体遺伝子多型と男性ホルモン性脱毛症のリスク:Androgen receptor gene polymorphisms and risk for androgenetic alopecia)。これは2074人のAGA患者とAGAを発症していない健常者1115人を対象とした調査で、2001年とは桁が違う規模で行われています。そしてこの調査でCAGリピート数とGGCリピート数の合計の値と、AGA発症の間には明確な相関が無い(つまり関係が無い)と結論づけられました。この論文の調査結果を信じるならば、現在AGAクリニックで行われているAGA遺伝子検査はあまり意味が無いようにも思われます。

対象となる人種によって調査結果が変わる傾向もあり、欧米人対象の調査なのか日本人を含むアジア(特に東アジア圏)を対象とした調査なのかによっても結論が異なる現象も起きています。現在のAGA研究ではまだ遺伝子レベルでAGA発症リスクを正確に判断することは難しいと言えるでしょう。

ちなみに上記調査でCAGとGGCリピート数とAGA発症リスクの間に相関は見つけられませんでしたが、rs6152と呼ばれるX染色体上のアンドロゲン受容体AR遺伝子の最初のエキソンに位置するSNP(他の人と決定的に異なる個々人固有の遺伝子情報)は、白人においてはAGAを発症する能力を強く示しているという結論が出されています。これについてはまたいつか掘り下げたいと思います。

CAGリピート数単体は大事

それでは全くAGA遺伝子検査は全く意味が無いものなのでしょうか。そう結論づけてしまうのは早計です。CAGリピート数の値によってフィナステリドが効きやすいかどうかを調査した論文がありまして、CAGリピート数が24付近を境目に、小さければフィナステリド治療効果が高く、リピート数が大きければ治療効果が低いという調査結果が日本人を対象に行われています。こちらは150人対象と規模は小さいのですがCAGリピート数とフィナステリド治療の効果の間には一定の相関が認められたといえるのではないでしょうか。先述しましたように遺伝子情報は人種によって微妙に傾向が異なり、特にCAGリピート数はアジア人はアフリカ人や白人よりも長い傾向にあるために、欧米人に対して調査した論文をそのまま我々東アジア人に対して適用してもいいのかは微妙です。その点この論文は日本人を対象にしているために重要です。

まとめますと、従来は盛んに宣伝されてきた「CAGリピート数とGGCリピート数の合計の値でAGA発症リスクを判断する」のではなく、「CAGリピート数の値でフィナステリド治療が効果的かどうかを判断する」のが現状のAGA遺伝子検査を使った治療方針になりつつあります。

とある全国大手のAGAクリニックの院長さんに伺ったところ、クリニック全体としてはCAGリピート数とGGCリピート数の合計でAGA発症リスクを判定することになっているので一応患者さんにはそのように説明してはいるが、現場ではそこまで合計数には重きを置いてはおらず、それよりもCAGリピート数の方を遥かに重視して患者さんに説明されているようです。数年後には大半のクリニックでCAGリピート単体での治療方針を決めるようになっているかもしれませんね。

AGA遺伝子検査をやる価値はあるのか

さて、遺伝子(DNA)検査は年々手軽に、また安価にできるようになってきており、口の中の粘膜や血液、毛髪など人間の体の組織であればどこを使っても同じ遺伝子情報が検査できるようになりました。簡易な検査キットでは口の中の粘膜を採取する方法がよく用いられています。

大手のAGAクリニックでの検査なら20000円付近が相場、自分で口の粘膜を採取して郵送するタイプのAGA遺伝子チェック用のキットであれば12000円ほどかかります。安価になってきたとはいえまだまだ高いですね。この金額を安いと捉えるか高いと捉えるかは個人差がありますが、もし極端にCAGリピート数が高くてフィナステリドの治療効果が見込めない人がAGA遺伝子検査をせずに何年もフィナステリドを服用し続けるのは金銭的にも無駄ですし、副作用が比較的少ないとはいえ効く見込みの無い医薬品を服用し続けるのは体への影響もありますので、検査するに越した事は無いでしょう。まあ、そこまで積極的に検査を勧める程では無いですが…。検査料5000円ぐらいに下がってくれませんかねえ。

もし行きつけの病院で検査を実施していればやってもらってもいいですが、個人的には安価な郵送検査キットで十分かなと思います。検査キットだと正確な遺伝子情報がとれないという事は基本的にありません。病院でも検査キットでもきちんと口の粘膜を採取できれば問題無いです。

まとめ

以上AGA遺伝子検査について皆さんが抱きがちな疑問点などについて解説してみました。もう少し安ければ(せめて5000円)なら無条件でお勧めしますが現状では12000以上かかってしまいますし、やるやらないは皆さんの判断しだいでしょう。やった方がいいのは間違いないです。ただしCAGリピート数が低くてもフィナステリドが効かない可能性はありますし、その逆もしかりです。あくまで傾向・可能性を予め判断できるものです。それに12000〜20000円を投資するかどうか、悩ましいですね…。