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自毛植毛の2大手法・FUTとFUEを比較してみた

自毛植毛を受けようと考えている人が必ず悩むのが、2017年現在の自毛植毛の世界的な二大手法であるFUE法とFUT法のどちらで植毛を受けた方がいいのかどうかです。クリニックごとにその呼び名も異なるために(例えば湘南美容外科クリニック!ではFUE法をARTASと呼んだり、切る植毛・切らない植毛と表記したり)、余計に混乱するのではないでしょうか。

そこで、この記事ではFUE法とFUT法の違いについてなるべく詳しく比較して解説したいと思います。今から自毛植毛を受けようと考えているけれどFUE法とかFUT法とか色々とあってどうすればいいのかわからないという人はぜひ参考にしてください。

(もし自毛植毛そのものの知識が無い場合はこちらの記事から先にどうぞ)
自毛植毛完全マニュアル2017年版 - AGAと戦う人に読んで欲しいブログ



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FUE法=切らない FUT=切る(メスを使う)

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FUT法とFUE法の違いの最もわかりやすい点は、FUT法はメスを使って頭皮ごと髪の毛を切り取りますが、FUE法はメスを使いません。
ここが決定的に違う点です。

メスを使って頭皮を切り取るなんて怖いですね…。実際は麻酔が効いているのでほとんど痛みは感じないのですが心理的なハードルが高くてFUT法を選択しない人も多いようです。

FUE法はメスこそ使わないものの、米粒大の面積の皮膚をパンチのような機械で毛根組織ごと採取してきます。これはこれで想像しただけで痛いです…。でもこちらの方が心理的にはずいぶん楽なのも事実です。

このようにメスを使って切るかどうかがFUT法とFUE法の一番大きな違いと言えます。

FUT法

FUT法はメスで頭皮を切り取る

FUT法はFollicular Unit Transplantationの略で、1995年に開発された手法です。日本よりも先に植毛技術が発達した海外では圧倒的に主流で、自毛植毛クリニックによってはストリップ法とも呼ぶ所もあります。

FUT法の特徴は縦2cm横10cm程度の面積をメスを使って頭皮ごと切り取るところにあります。ここがFUE法との決定的な違いです。この切り取る面積は植毛する本数によって異なりますがだいたいのイメージとして捉えて下さい。

頭皮ごと切り取り、ドナーと呼ばれる移植する株(髪の毛が生えてくる毛穴のようなもの)をごっそり採取しそれを一つずつ人手で分解し、薄くなった部分に移植するのがFUT法です。頭皮を切り取るわけですからそれを糸で縫合して植毛手術が完了します。

切り取った部分はどうなるのか

それでは皮膚を切り取った部分はいったいどうなるのでしょうか。残念ながらその部分からはもう毛が生えてくる事はありません。ですから、あまり広範囲に渡って切り取る事はできません。また、縫合するとはいえ傷が残ってしまいますから、あまり目立たない場所を選んで切り取る事になります。どこを切り取るかはドクターと相談することになるかとは思いますが、基本的には両耳を後頭部側からぐるっと帯状に切る事が一般的です。ここが最も傷が目立ちにくく、またAGAを発症させて薄毛の原因となるDHTと呼ばれる男性ホルモンの影響を受けにくい後頭部の髪の毛なので移植した後にも脱毛しにくいメリットがあります。

なるべく目立たない場所を選ぶとはいえ、傷が残るのは事実です。いかにこの傷を小さくして目立たなくするか、あるいは永久に生えてこなくなってしまう面積を小さくするかは執刀・縫合するドクターの腕の見せ所と言えるでしょう。安いからといって安易に植毛費用だけでクリニックを選ぶとこのあたりに気を使ってもらえない事が多く、後悔する事になります。

縫合する際に特殊な技術を使って縫合する事で傷を小さくすることをアピールするクリニックも多いです。単純に糸で縫合してはい終わり、ではいかないんですね。

例えばトリコフィティック縫合法(Trichophytic closure)と呼ばれる技術。傷の下の皮を1mm程度削り、そこに傷の上側の皮を被せて縫合します。傷が治癒するとその傷跡から発毛するので傷が目立ちにくくなります。トリコフィティック縫合法で傷跡から生える髪はだいたい1例から2列程度。採取ドナー面積が数mmの方は2列程度の髪の毛でも傷がほとんどわからなくなります。

このようにFUT法はメスで皮膚ごと切り取るぶん、傷痕が大きく残りやすくなる方法なのでアフターケアが大事になってきます。どこを切るか、どうやって縫合するか、全てはドクターの腕にかかっていると言えるでしょう。

FUT最大のメリットは大量植毛に適しているところ

FUEが米粒大の面積のドナーをチマチマと採取していくのに対して、FUTはメスでごっそりとドナーを頂いてしまいますので、とても効率がいいです。大量に植毛しなければならない場合はFUTを積極的に選択するべきでしょう。

また、採取時にドナーを傷つけてしまうドナーロスもあまり起こりません。FUEはパンチでチマチマと何箇所もドナーを採っていきますので、その際にどうしてもドナー部分を傷つけてしまい使いものにならない株が生まれてしまいます。

大量に植毛すればするほど、このドナーロスによって失われてしまう株が増えてしまうのがFUEの欠点ですが、メスを使って大きな面積でドナーを採取するFUTの場合はドナーロスがほとんどなく、定着率も95%を超えます。

1000グラフトを超える場合はなるべくFUTを選択されることをおすすめします。

費用がFUEよりも若干安い

これはクリニックによって異なりますが、基本的にFUT法がFUE法よりも費用を安く抑えることができます。FUE法はパンチで何度もドナーを採取しなければならないために効率があまり良くないため、どうしても人手と時間がかかってしまいます。それが植毛価格に反映されて高くなりがちです。

施術に備えて毛髪を剃る面積が少なくていい

ドナーを採取する際に、FUT、FUE共にある程度後頭部を剃り上げる必要がありますが、この際にFUTの方がFUEよりも剃る面積が狭くて済むので、剃った部分より上の毛が長ければ剃った部分を隠すことができます。つまり他人にバレにくいです。

それに対してFUEは剃り上げる面積がFUTよりもかなり広いために隠すことが困難です。植毛手術を受けたことを他の人に隠しにくいのです。

FUT法のデメリットは後頭部の線状の傷

FUT法のいいところばかり述べてきましたが、もちろんデメリットもあります。

FUEに比べるとドナー採取の際にメスで頭皮をごっそりと切り取るために、どうしてもそこが線状の傷となって残ってしまいます。クリニック側も目立たないように縫合してくれるとはいえ、短髪だと他の人にバレてしまう可能性があります。

これが最大のデメリットですね…。3cmぐらいの長さならばほとんどわからないでしょうが、坊主や極端に短いベリーショートのような髪型だと傷跡を髪の毛で隠すことができなくなってしまいます。短髪が好きな方はFUE法を選ぶことが多いようです。

FUT法まとめ

ここまでFUT法について施術方法やメリット・デメリットを解説してきました。頭皮をメスで切るという心理的な恐怖感、線状の傷が残るために髪型が制約されるというデメリットはあるものの、費用が比較的安価で、ドナーロスが少なくて大量の植毛が可能などのメリットもあります。この点を頭に入れておいて、次から解説するFUEと比較してみてご自分にあった施術方法を選択してください。



FUE法

FUE法はFollicular Unit Extractionの略で2001年に開発された手法です。FUTが1995年でしたから若干新し目の技術です。

FUE法ではFUT法と違ってメスを使わずに「パンチグラフト」という植毛用の器具で、髪の毛を株ごとに採取していきます。一回あたりの取得面積は大きいものだと米粒大、小さいものだともっと狭い範囲で採取していきます。

FUTの採取方法は一箇所を大きめにゴッソリといった感じだったのに対し、FUEは小さい面積のぶん何度も何度も採取するようなイメージです。

傷が小さい

FUTはどれだけドクターが頑張ってもある程度の線状の傷(無毛部分)が後頭部にできてしまう自毛植毛方法でした。それに対してFUEは米粒よりも小さい面積で皮膚をくり抜きますので、もちろんその部分からは髪の毛は生えてこなくなるのですが、傷という点では目立ちにくいのは確かです。下手なドクター、というより植毛機器が時代遅れの物を使っているクリニックの場合は米粒大の傷が後頭部に大量にできてしまうこともありましたが、現在の大手の植毛クリニックはドナー採取の際に使う器具も最新の物を使うためにそのようなことは無くなりました。

ほとんど傷としては残らないレベルに植毛手術を終えることができるために、坊主はともかくとして短髪にしても植毛を受けたことが全く他の人からわからないという点が好まれています。

太くていい毛を優先的に薄いところに移植できる

FUEはドナー採取時に「太い毛を優先的に採取する」といったことが可能です。後頭部は毛の生えている密度が高いため、細い毛はそのまま後頭部に残して太い毛を薄いところに移植するといったことが可能なのです。これは案外見逃すことのできないメリットです。

施術後にすぐに激しい運動が可能

FUT法では線状の傷が大きく残るために、その傷がある程度治癒するまではあまり激しい運動はできません。ジョギング等であれば可能ですが、サッカー、バスケット、ラグビーなど他の選手と接触する可能性のあるスポーツは医師から避けるように念を押されます。

それに対してFUE法であれば傷口がほとんど目立たないぐらい小さく、また1~2日である程度治癒するためにすぐにスポーツに復帰することが可能です。本格的なアスリートの人にとって自毛植毛によって競技をしばらく離れるのは避けたいもの。そういう場合にはFUE法を選ぶべきでしょう。

頭皮以外からも毛を収集可能

ほとんど行われてはいませんが、もし頭皮から毛を確保できない場合でも頭皮以外の体毛から毛をドナーとして採取することがFUE法であれば可能です。

大量植毛にはあまり向いていない

FUTと違ってドナー採取に時間がかかるために、一回の手術で植毛できるグラフト数が少なくなってしまう傾向にあります。ただしこの辺は近年の技術向上や植毛器具の発達で1000グラフト以上のFUE施術をやるクリニックも増えてきました。

施術前に髪の毛を剃り上げる面積が広くてバレやすい

FUT、FUE共に髪の毛を剃り上げる必要がありますが、FUEの方が剃り上げる面積が広くなってしまうので、手術直後に他人に植毛手術を受けたことがバレやすくなってしまいます。

大手の植毛クリニックではウィッグ(小さいカツラのようなもの)を用意してくれている所があるので、ある程度の長さの髪型ならばそれで隠すこともできます。ただし髪の長さがかなり短い場合はウィッグで隠すことは無理です。女性ですと隠すのに十分な長さの人が多いのですが、男性の場合はここがネックになってきます。施術前はなるべく長くしておくか、あるいは思い切って坊主に近いぐらい短くしておくという手もあります。最近はツーブロックも流行っていますので、うまく隠せるような髪型を事前にアドバイスしてくれる植毛クリニックも増えてきました。

長期的に見ると傷跡が露出するかもしれない

FUE法のドナー採取方法では将来的に薄毛がさらに進行した場合に、ドナー採取部の傷跡が目立つ可能性があります。FUT法では後頭部に大きな線状の傷ができるものの、その傷の部分まで薄毛が進行する可能性は低いです。それに対してFUE法では頭皮全体の広い範囲からドナーを採取するため、その部分にまで薄毛が進行してしまうと傷跡が目立つようになってしまう可能性があるのです。

費用が若干高め

クリニックによりますが、FUTに比べると若干費用が高くなりがちです。植毛大手の湘南美容外科クリニックなどはFUTもFUEも同じ金額設定になってしますがこれは珍しい例で、FUTに比べて自毛植毛手術時間が長くなりがちなFUE法は高くなりがちです。

ドクターの腕が問われる

最近はドナー採取時にロボットでやるところも増えてきましたが、もし人手でやる場合は施術するドクターの技術によって仕上がりがかなり左右されます。FUTは縫合時に自然な仕上がりにするような技術が求められますが、FUEは採取時にいかに傷を残さないが問われます。下手なドクターだと米粒大の不自然な傷がポツポツと残ってしまう可能性があります。熟練のベテランドクターに施術してもらえるよう病院にお願いしましょう。

ドナーロスが多い

これがFUE法の最大のデメリットかもしれません。ドナー採取時にどうしても毛根の大事な部分を傷つけてしまい、そのドナーが使い物にならなくなってしまうことがあります。FUTだと広範囲に一回でドナーを採取するのでほとんどロスなく使えるのですが、FUEは何十箇所もパンチグラフトで採取する過程で、どうしてもドナーの大事なところを「切って」しまいます。こうなるともう植えても毛が生えてくることはありません。これがドナーロスです。

大量に植毛するならFUEよりFUTが推奨される最大の理由がここにあります。FUEはどれだけ繊細に作業をしても、大事なドナーを10%から15%ほど失ってしまうために、大量に植毛すればするほどFUTに比べて定着する髪の量は減ってしまいます。

FUE法まとめ

ここまでFUE法についてメリット・デメリットを中心に解説してきました。いかがでしたでしょうか。傷が目立ちにくく短髪にしても人にバレにくいという最大のメリットがある一方で、費用が高めでドナーロスが起こりやすく大量の植毛には向いていないという傾向があります。

とはいえ、近年ではドクターや器具の技術向上でこのデメリットは改善されつつあります。ドナー採取時にロボットを使って半自動化するクリニック(湘南美容外科クリニック!のARTAS等)も増えつつあり、今後さらに技術が進化していく手法と言えるでしょう。

FUTとFUEはどちらの方が失敗が多いのか

自毛植毛を失敗してしまうと取り返しがつかないだけに、FUTとFUEのどちらが成功率が高いかは気になるところですね。しかし、何をもって「失敗」と見なすのかは難しいところです。と言うことで失敗問題については以下のようにテーブルにまとめてみました。

ドナー定着率の失敗 傷が目立ちすぎる失敗
FUT 低い 高い
FUE 高い 低い
FUEの欠点はドナー(グラフト)を取得する際に毛根を傷つけてしまい、移植した後に定着しないことが多いというところです。FUEロボットであったりドクターがの腕の精度によって定着率が左右されるので、受けてみないと定着率がわからない点が怖いですね。傷の問題はFUTほどは深刻ではありません。ただしよほど酷いドクターの場合は米粒状のドナー取得痕が残るかもしれません。

それに対してFUTはドナー定着率についてはFUEよりも高くて失敗することは少ないでしょう。しかしFUTはメスで頭皮を切り取るのでどうしても線状の傷が残ってしまいがちです。うまく髪型で隠せればいいのですが、もし隠しきれないほどの傷になってしまった場合は失敗と言えるでしょう。

いずれにせよ、FUTの方が自毛植毛の施術方法としては歴史が長く、ドクターが手法に精通しているため、大きな失敗は起こりにくい傾向にあります。

FUTとFUEの比較のまとめ

以上、現在の2大自毛植毛技術であるFUT法とFUE法の違いの比較について解説してみました。

どちらの技術も一長一短、いいところもあれば悪いところもあるのが現状です。「安いからFUTを選ぶ!」「傷が目立たないからFUEを選ぶ!」と安易に考えないでください。どちらの手法が適しているのかはあなたの髪の毛の状態によって左右されます。どちらの手法が一概にいいとは言えないのです。経験豊富なドクターとよく相談してから、ご自分にあった手法を選ぶようにしてください。

FUE法を行っているクリニックはまだ日本ではそんなに数がありません。東京、仙台、大阪、福岡でFUE法での自毛植毛を受けるなら湘南美容外科クリニックがまず第一選択かなと思います。